社会医療法人と医療法人の違いについて

病院だより施設認定, 社会医療法人

私が病院に転職した際に、社会医療法人と法人名についていましたが他の病院との違いが良く分かっていませんでした。なんとなく社会とついた方が規模が大きいのかなというぐらいのイメージでした。

今回医療法人と社会医療法人についてそれぞれの概要をご紹介したいと思います。

医療法人と社会医療法人

医療法人にはには大きく分けて以下の2種類があります。

① 医療法人:全国約54,000団体

② 社会医療法人:全国約300団体

どちらも似たような名称ですがその数は大きく違いがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

医療法人について

病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所または介護老人保健施設を開設されることを目的として医療法の規定に基づいて設立される法人のことを言います。医療法人の義務として都道府県への事業報告書の提出や法人の意思決定などに関する書類の保管などがあります。

医療法人になるメリットとして

  • 税負担軽減ができる
  • 複数施設の開設やその他介護事業の運営が可能

などが挙げられます。

社会医療法人について

公益性を担保する条件を満たし、都道府県の認定を受けることで、比較的幅広い事業から得られる収益を病院などの本来事業へあてることができ、医療の非営利性を保ちつつ、経営の透明化と効率化、また地域医療安定化を目指す制度です。社会医療法人になると医療のほかにも物品販売業、不動産貸付業、飲食店業などを営むことができます。情報通信業も含まれているのでもしかしたら院内SEとしてソフトウェアの販売などを狙える可能性があるかもしれません。

もちろん簡単に社会医療法人になれるのではなく認定に必要な要件がいくつかあります。

救急医療など確保事業の実施

救急医療、災害医療、周産期医療、へき地医療、小児科医療といった公益性の高い医療を担わなければなりません。医療を提供する範囲を広げ地域住民へ良質な医療を提供することを目指しますが、その分職員への負担や病院経営の圧迫などにつながる可能性もあります。

公的な運営

社会医療法人になると医療法人よりも公的な運営を求められます。例えば役員に同族関係にあるものが総数の1/3を超えないことや、特定の個人/団体に対して特別な利益を与えないこと、自由診療の患者に対し保険診療と同一の基準で請求することなどが規定されています。

社会医療法人の利点

そんな社会医療法人ですがメリットとして以下のようなことが挙げられます。

  • 自治体病院(公立病院)の民営化。指定管理者公募の際に医療法人よりも有利
  • 収益事業を行うことができる。上でも説明した通り幅広い社会副事業の運営が可能
  • 医療法人よりも税制上の優遇措置を受けることができる。本来業務である生じる所得について法人税が非課税になるなど

沖縄県の社会医療法人

沖縄県にある社会医療法人は現在5法人が存在しています。

法人名公益性の高い医療達成施設認定年月日
社会医療法人友愛会救急医療友愛医療センター平成23年10月1日
社会医療法人敬愛会救急医療、小児救急医療中頭病院平成21年3月1日
社会医療法人仁愛会救急医療浦添総合病院平成21年10月1日
社会医療法人かりゆし会救急医療ハートライフ病院平成21年3月1日
社会医療法人葦の会へき地医療オリブ山病院平成31年4月1日

施設認定・指定

医療法人の話から少し外れるのですが、各病院は何らかの施設認定や指定を受けていることが多いです。この認定や指定を受けると病院や患者さんにとって様々なメリットがあります。例えば難病医療指定医療機関を受けている病院だとパーキンソン病などの難病・指定難病の治療を受ける際に医療助成が受けられる場合があります。その他にも診療報酬の加算を受けられる場合もあります。

いくつか施設認定・指定の例をご紹介します。

  • 地域医療支援病院
  • 救急告示病院
  • 沖縄DMAT指定病院
  • 地域災害拠点病院
  • 基幹型臨床研修病院
  • 日本医療機能評価機構認定施設

まとめ

病院の法人には医療法人と社会医療法人の違いがあったり、病院によっても施設認定や指定を受けている種類が異なるなど様々な違いがありました。病院によって機能を明確に分けることで医療負担の軽減や、患者さんへの適切な医療の提供体制を整えることができているのだと感じました。

私の病院も社会医療法人なので、例えば飲食業や小売業などをやっていればそこの店長として配置移動などもあり得ます。病院にいながら様々な業種を経験できるのは楽しそうだと感じました。前回作成したAI-FAQ-BOTがうまくいけば他病院や異業種などへ構築サービスとして売り出すことも可能性としてはあり得るので、やり方によっては院内だけではとどまらずに挑戦していけるのかもしれません。