病院独自の行事?!院内研究とQCについて

病院だよりQC, イベント

病院には一般企業にないイベントがありますが、その中でも職場内でのみ行われていて院外の方々にはあまり知られていない活動として、院内研究とQC活動というのがあります。どちらも一定の期間をかけて調査・実践した結果を職員に向けて発表しています。

私はこの発表会の運営メンバーとなっており、今回はコロナ禍での初の試みでリモート開催となりましたので、実現方法を試行錯誤しましたのでその内容も併せて紹介しようと思います。

院内研究とは

私たちの病院では毎年指定された部署が、その年度で取り組んだ業務改善や研究について発表する院内研究というイベントがあります。他の多くの病院が行っているそうです。今年度は病棟やリハビリなど4部署が、日々の業務の合間に集まって話し合いや、発表資料の作成などを行っていました。全職員の前で発表するので適当なものは見せられませんが、優秀部署には目録がもらえるので俄然やる気が出ます(笑)

私が入る前にはシステム課も参加していて、院内HPのアクセス数アップのための施策を発表していました。最近は裏方へ回ったようで発表を行っていません。私が入職してから色々なツールなので業務効率向上を図っているので発表してみたい気もあります。

QC活動とは

QC活動とは(Quality Control)の略で品質管理という意味です。病院に来院される患者さんが求める医療の質・サービスを提供していく仕組みを構築していく、病院の利用者の満足度の向上、職員のやる気UPや働きやすい環境をつくり、魅力ある病院にしていこうという活動です。

QC活動は日本科学技術連盟が普及を推進しており、効率よく問題解決が行えるようにQCストーリーやQC手法などに沿って進めていくことが有効とされており、発表の際もこの方法を活用しているかが審査ポイントとなります。

病院内で優秀賞をとった部署は県や地方で行われるQC大会に参加する場合もあるので、一層気合が入っています。

コロナ禍での開催方法

院内研究やQC活動は従来会議室に一斉に集まって開催していたのですが、今回はコロナ禍で初めてWeb開催することになりました。私は発表会の運営のシステム担当だったので発表会の開催方法を一から考えなくてはいけませんでした。

Web 会議システム

最初はコロナ禍で流行ったZoomで開催することを検討しました。しかし病院で使っている端末はほとんどがインターネットにつながっておらず病院内で完結している閉域網のネットワークに接続されています。一部インターネット専用の端末も用意していますが、部署に高々1台ぐらいしかなくまたスペックも低いのでZoomで開催することは見送りました。

そこで最近導入されたサーバーにインストールすればZoomのようなWeb会議システムが無料で使えるようになるBigBlueButtonというシステムを使うことにしました。私はこのシステムの導入に関わっておらず業者さんがいれてくれたようですが、Linuxサーバーがあれば簡単に導入ができるようでZoomを使えない場合やサーバーがあり無料でWeb会議システムを使いたいという場合には有用であると思います。

出席管理

さて、肝心のWeb会議システムは決まりましたが、まだ問題があります。従来の発表会では受付で出席者を紙で記録しており参加者数を把握しておりました。Web会議システムになるとこれが難しく出席をとる方法を模索しました。最初はGoogleフォームというシステムを使うことを検討しました。これはQRコードを読み取るとアンケート形式のフォームが表示されるので、そこで部署やIDを登録してもらい出席者数を把握しようと考えました。しかし、Web会議システムが院内ネットワークを使うのに出席者はスマホなどからインターネットを使うというのが結構手間になることが懸念されます。

上司に相談したところ、昔に院内開発で作ったプログラムがあり、まんま出席登録するアプリが用意されていました。ここ数年使用例がないプログラムでしたが全然問題なく使えたのでこのプログラムを採用しました。

投票システム

さて次の問題として、院内発表会では会場内の特別審査員と会場外からの一般審査員から投票をしてもらって、その総数で優秀賞を決めるので、投票システムも検討する必要がありました。

投票システムも最初はGoogleフォームで検討しました。出席と投票が一度にできるので悪くないとも思いましたが、やはりスマホを使う必要性やスマホを持っていない職員など問題がありました。

調査していると実は、BigBlueButtonには投票システムがあり、ここで投票部署の選択肢を入力すると見ている視聴者に投票してもらうことができます。このシステムで特に別システムを用意する必要もなく、発表会を見ている画面で投票もできるのでうってつけの機能でした。

工夫点

ここまでほぼ用意されているシステムで要望を実現できましたが、細かな調整が必要でした。

まずWeb会議システムですが、発表会用のURLを全職員に共有する課題がありました。全職員がメールアドレスは持っておらず、またURLを共有できたとしてもそのURLをブラウザにコピペして開く操作には不安がありました。さらにWeb会議システムはWindowsのIEでは開けずにChromeなどで開く必要があり、またバージョンによっても開けない問題がありました。

そこで行った工夫として、院内のポータルサイトへURL共有とChormeで開くbatファイルを作り、リンクをクリックするだけで指定のブラウザで指定のURLを開くことができました。バージョンの問題は前回の記事で説明した通り解決できました。

問題点

大きな問題点として、会場外からの質疑応答がありました。Web会議システムで参加者からの質問を受け付けられるのですが、その操作方法で問題がありました。発表の妨げにならないように会議参加時にマイクがミュートになっているのですが、主催者が質問者を発表できるようにステータスを変えて、質問者は自分でマイクのミュートを解除して質問が終わったらマイクをミュートにするという操作を行う必要があります。 問題点として、

  1. 質問したい人を特定することが難しい
    質問したい人はステータスを選ぶことができて、「挙手」というステータスを選べばいいのですが、あまり画面で目立たず見落とす可能性があります。カメラに向かって挙手しても初期設定はカメラがオフになっていて、カメラがないパソコンもあるので難しいです。
  2. 主催者側の操作
    上記の質問者が特定しにくい問題と、質問者の音声入力を許可する設定の操作が若干手間なのとそれを戻し忘れる恐れもあります。また質問者を選ぶ方は座長もしているので会議の進行と質問者の選定など両方は負担が大きいです。
  3. 質問者の操作
    質問者は事前にマイクの有無の確認とマイクテストを行ってもらいたいのですが、その周知が難しいです。全職員に向けて通達を出しているのですが、見ない人も少なからずいて、事前に参加方法を伝えたのですが、開催中に参加方法を聞いてくる職員もいたので、事前確認やマイク操作などやってもらうことは難しいです。

上記の問題があって委員会で相談したところ、今回は会場外からの質問はなしということに決まりました。ただ事後のアンケートでは質問できなくて残念だったとの声もあったので、次回以降の検討課題とします。

不便な中でも工夫次第

そんなわけでうまくいかなかった部分もありましたが、無事に発表会を行うことができました。インターネットが使えない環境や使えるツールの制限、職員のITリテラシーなどを考慮して、だれでもできるように考えていくことが大切です。

私の学生時代も学校内のインターネットには、通信量を減らすためや教育現場に不必要なサイトなどが見れないように制限されていました。特にyoutubeやニコニコ動画などの動画サイトが見れないことが不満でした。当時はスマホもなくテザリングといったことも使えなかったので、自宅に古いPCを置いてプロキシサーバーを立てて回避したりしてました。(ずっと起動しっぱなしだったので熱でファンが凄い音になっていたそうで母親が度々電源を切っていましたが…)

病院も流行りのWeb系の企業から見ると制限が多かったり枯れた(レガシー)技術を使っていたりしていますが、「あのツールがないと無理!」とか「職員のITレベルではできない!」などとあきらめずに、その中にあるものを使って工夫をして実現するという考えが大切なのかもしれません。私も今回はどうにかできたというレベルなので、次回はもっと使いやすく皆が満足できるレベルにまで工夫していきたいと思います。