血液の掃除屋さん?!透析について
うちの病院では透析患者専用のフロアがあり、定期的に通っている透析患者さんがいらっしゃいます。また医療情報システムにも透析システムがあり、透析の名前はよく聞くのですが、何のためにやっていて、どういう治療法なのかよく分からなかったので、今回透析について調べてみました。
透析とは
健康な腎臓は体内の老廃物や毒素を排出する、血液中の水分や塩分などのバランスを一定に保つ、赤血球を作るホルモンを分泌する、ビタミンDを活性化して骨を丈夫にする、血圧を適切にコントロールするなど様々な働きがあります。 しかし、腎臓が悪くなる(腎不全)とその機能が失われてしまい、尿毒症という症状を起こしてしまい最悪の場合死に至ります。
これを何とかして克服するために透析治療というのが行われています。図にまとめると以下のような感じです。
図を見て分かるように、透析では腎臓の機能の全てを補えるものではありません。透析治療では①老廃物の除去、②水分の除去、③電解質の調節、④血液のPHを一定に保つ ことが行えます。透析で補えないことは薬物療法や食事療法で腎臓の機能の代行を行う必要があります。
血液透析とは
透析には血液透析と腹膜透析というのがありますが、病院で行うのは主に血液透析で、腹膜透析は自宅などで患者さんご自身が行える透析です。
血液透析は以下の図のように血液を抜き出し、透析機器を通して余計な水分や老廃物の除去・不足分の補充したきれいな血液を再び血管に戻すという治療になっています。
稚拙な図で申し訳ないのですが、上記が大まかな概要図になります。ダイアライザーというのは人工腎臓と呼ばれるもので、筒状になっていてその中に無数の小さな穴が開いています。その穴を通して老廃物や水分、塩分などが透析液の中に移動し、不要なものを除去してきれいになった血液が体に戻ります。
患者の生活パターン
正常な腎臓は1日24時間365日働いていますが、血液透析は1日3~4時間の週3回ほど病院に通って行います。治療時間+通院時間でほぼ半日以上費やすことも多いです。患者さんやご家族にとても大きな負担になるため医師をはじめ、看護師や、薬剤師、栄養士、臨床心理士など多職種でサポートしています。
シャント
問診表など病院内の文書ではシャントという単語が頻繁に登場します。シャントとは透析をするためになくてはならないもので、十分な血液量を確保できるように動脈と静脈をつなぎ合わせた血管のことを言います。静脈は皮膚直下で低圧なので比較的安全に脱血できますが、透析に必要な血液量を持続的に脱血できません。それに比べ動脈は静脈よりも深いですが血管内圧が高いので必要十分な血液量は確保できますが、危険性が高いです。 それを解決する手術法として、動脈と静脈をつなぎ合わせた血管を作り出すシャントと呼ばれる方法が取られます。そうすることで安全かつ確実な脱血と返血ができ、透析治療を有効に行うことができます。
透析治療の流れ
- 体温、血圧測定、シャント肢の手洗い
血圧や体温を測って患者さんの状態を確認します。 - 体重測定(同じ重さの服・靴?ポケットの確認)
測定された体重で透析で行う除水量が決まるので、体重測定を正確にすることが重要です。 - 各自ベッド、椅子で透析前準備
透析治療中の時間を快適に過ごせるように準備を行います。患者一人一人のベッドにテレビを備え付けられています。 - 患者状態、除水量確認、治療開始
患者さんの状態の最終確認を行い、透析装置と血液回路を接続したら透析治療開始です。 - 血液返血、抜針、シャント確認
綺麗になった血液を返血し、抜針します。シャントは繰り返し穿刺されるので状態確認は重要です。
透析システム
透析システムとしては患者さんの体温や血圧(バイタル)を常に記録するシステムや、体重計と接続して体重測定の結果を取り込むシステムなどがありますが、一度接続して設定してしまえばあとは現場の看護師で行ってもらっています。
基本的に透析システムに関してのトラブルは少ないのですが、最近では透析患者さんの状態を記録した用紙をシステムから出力した際に載せる情報の追加・変更などの対応を行いました。
透析患者の注意点
末期の腎不全となってしまった患者さんは基本的にずっと透析を受けるために病院に通い続けていく必要があります。透析をきちんと受けることはもちろんですが、日常生活においても注意点があります。
水分管理や塩分管理、食事療法などでカリウムやリンの摂取管理、血圧の薬での薬物療法など栄養士や薬剤師を中心として、日常生活を多職種でサポートしています。
まとめ
私の身の回りに透析を受けている人がいなかったので今まで良く知らなかったので、透析や腎不全になるとどうなるのか調べてみました。腎不全が進んでしまうと、病院通いが続いてしまうので、とても負担がかかる生活になるので大変ですが、病院の職員が多職種でサポートしてくれるのは心強いです。 もちろん健康な体を維持することが大切なので、運動・食事・睡眠のバランスに気を付けていこうと思います。
最近読んだ漫画で透析の場面が出ていたので、興味がある方はいかがでしょうか。ハッカーが活躍する漫画でまだ全部は読んでないですが、機会があれば全巻読破したいです。
しばらく前にテレビドラマ化していたみたいで、その時知っていれば是非見たかったです。
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