病院向け電子カルテの特徴と各社比較
規模の大きい病院になるとほとんどの病院で電子カルテが導入されていると思います。私は病院で使っている1社の電子カルテしか使ったことがないのですが、調べてみると複数社から電子カルテが販売されています。
また、病院向けだけではなく、小規模なクリニック向けや眼科や歯科向けなど特定の診療科に特化した電子カルテなどもあります。
今回は各社の病院むけ電子カルテについて調べてまとめました。
電子カルテの特徴
電子カルテは総合診療録としての役割を持っており、医師による診察診療録のみではなく、看護の記録やリハビリ、栄養士による指導など病院総合カルテとして病院内の情報を共有するのが大切になってきます。
厚生労働省でも、診療録などの電子媒体による保存について以下の3つが大事だと示されています。
- 真正性
情報の記録や修正・削除などの記録を誰によって行われたものかを全て記録されており、またその履歴が管理されて半永久的に保存されていること。 - 見読性
記録した情報を必要なときに必要なものに提供されること。 - 保存性
記録された情報が法令に定められた期間に基づいて、真正性を保った状態で確認できること。 サーバの完全二重化、リアルタイムデータレプリケーション
電子カルテを導入する際は上記の要素を満たしていることが必要になります。
各部門システムとの連携
電子カルテ自体は診療支援として使われることが多いですが、診療データを蓄えるデータウェアハウスとしての機能や、医事・管理部門と連携して病院の運営に関わる部分との連携も重要となってきます。 また、放射線科や検査科や各部門システムとも連携が取れることも必要です。
私の所でも電子カルテのメーカーだけではなく10社以上のメーカーのシステムを連携させて構成されています。
開発元(ベンダー)
電子カルテを開発している会社はいろいろありますが、総合電機メーカーである富士通やNECなどの大手製や、IBMなど様々な企業が参入しています。その中でも医療系の特化したソフトウェア・サービス、亀田医療情報など医療系に特化している会社もあります。
富士通、NEC
大手の総合電機メーカーでシェアや満足度が高いらしいですが、使ったことはないので詳しくはわからないです。 使っている別病院の話によると、医師や看護師などから不満は特になく機能や操作性などは問題なさそうです。また、ベンダーのSEも常駐してくれる場合もあるそうです。
気になった点としては、やはり大手のため導入費用や保守費用が高めに設定されています。また、データベースなどの情報公開には消極的で、病院独自のカスタマイズを行なっていくには困難と思われます。
ソフトウェア・サービス
医療分野に特化したシステムを開発しており、開発から販売、指導、保守と一貫したサービスを提供しています。大阪本社ですが沖縄支社があり、県内の病院でのユーザー数も多くあります。定期的に県内のユーザー会を開催して病院同士の交流なども活発に行われています。
データベースなどの内部構造の公開も行なっていて、病院独自のカスタマイズも可能でした。
オープンソース
プログラムが全部公開されているオープンソースの電子カルテもあります。
無料で全てが公開されているので好きなようにカスタマイズできますが、サポートする企業などがなければ全て自己責任になり、病院エンジニアの負担が高くなります。
シェア率
ベンダーごとのシェア率は下記のようになっています。
引用:電子カルテのシェア情報(https://www.softs.co.jp/e-map/share.html)
上位3社で7割近くのシェアを占めています。電子カルテを導入したら、他のベンダーに乗り換えることはなかなか難しいでしょうから、新規顧客の獲得が重要になるかと思います。
これらの電子カルテは基本、病院などのサーバーにインストールするオンプレミス型が多いと思いますが、開業したてのクリニックなどではクラウド型の電子カルテを導入する事例が多いそうです。
クラウド型が大規模な病院でも使われていくのか動向が楽しみです。
電子カルテの今後の展望
病院内だけで使われていた電子カルテですが、クラウドを活用して地域でデータを共有してどの病院に行っても過去の診療データなどを共有しようという動きがあったり、話題のAI(人工知能)を利用して最適な医療を提供できるようにする動きなど、電子カルテも時代の流れと共に変わっていくように思います。
ベンダーとしても世間の流れを汲み取るようなシステムの開発が重要になってきますが、私たち院内SEも世間の潮流についていけるように日々勉強していくことが大切だと感じています。
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