病院ITシステムの代表格!電子カルテについて
医療関係者以外でも聞き覚えのある医療情報システムと言えば電子カルテだと思います。 (しかし一番多く導入されている医療情報システムはオーダーリングシステムだったりもしますが) そこで今回は医療情報システムの知名度No1.を誇る電子カルテについてご紹介します。
電子カルテとは
電子カルテとは字面通りの意味で電子化されたカルテのことです。 カルテ(独:Karte)は診療録のことで、以前は紙カルテで管理されていたみたいです。 私の勤務先の病院は結構古く、私が生まれる前から設立されており紙カルテも保管しているそうですが、まだ見たことはないです。
これまで紙で書いていたカルテを電子化することで、どのパソコンからでも閲覧・編集することが可能になります。
特徴
電子カルテには診療記録の3原則というものがあり、これが守られていないと法令等に違反したとみなされる恐れがあります。 その3原則というのが以下のものです。
- 真正性
情報の追加・修正・削除のすべての履歴が管理されており、偽造できないようになっている。 - 見読性
情報の内容を必要に応じて直ちに表示できること。 - 保存性
法令に定める保存期間(5年)、復元可能な状態で保存されること
メリット
電子カルテのメリットは電子化できるだけではなく、各方面に様々なメリットがあります。
- 職員
- 予約確認が簡単に素早くできる
- 申し送り時間の短縮化 ※申し送りとは、日勤から夜勤への情報伝達などの情報共有のこと
- 誤投与やアレルギー対策
- etc…
- 経営者
- 売上データの把握
- 薬品の使用量の把握
- 医師単価、患者単価の管理
- 患者
- 診療待ち時間の短縮化
- 医療の安全・質を享受
- 医療の説明が容易に分かりやすく
デメリット
電子カルテは良いことばかりに思えますが、デメリットも存在します。
- 初期費用やランニングコストがかかる
PCや電子カルテシステムを導入するために、初期費用として何千万単位で発生します。また、PCやプリンタなど買い替える際もお金がかかったり、サーバーなどの電気代も高額になってきます。 - 職員に一定のPCスキルが必要
職員もある程度のPCスキルが必要になってきます。機械音痴やPC苦手といった方には少し頑張ってもらうことになります。 - システム管理者の人材が必要になる
システムを管理できる技術者の養成も必要です。トラブル発生時や職員からの要望など上手く対応して、開発元との調整が出来る能力が必要です。
こういったデメリットもありますが、システム課としてメリットを最大限発揮できるようにシステムの維持、改善や啓発、提案などを行い、最終的にはメリットがデメリットを上回るように努力しています。
導入の流れ
私の病院の場合は下記のような流れでした。
- 準備作業内容洗い出し 各部署・委員会でミーティングを行う
- システム範囲の検討 部署別にヒアリングを行い、調査・要望をまとめる
- システム範囲の決定・ハードウェア発注 どの部分を電子カルテで扱うのか、それに合わせたハードウェアの発注
- 導入準備作業 マスター登録、運用マニュアル作成、操作練習、機器の設置など
- オーダーリングシステムの運用 オーダーリングシステムの同時に導入していたので、先駆けて運用開始
- 運用開始 紙カルテを基本廃止するが、必要な場合は紙カルテで運用→運用安定後紙カルテ廃止
私はこの頃はまだ病院勤務ではありませんでしたが、この時導入した電子カルテが現在もバージョンアップなどを繰り返して動いているので、諸先輩方に感謝です。
電子カルテのまとめ
これまで個別個別に扱ってきた医療情報(カルテ、オーダリング)を共有化するために誕生した電子カルテですが、導入することによって病院側・患者側に様々なメリットをもたらしてくれます。 もちろんメリットだけではなく、デメリットも存在しますが、技術の進歩と院内SEの努力によってデメリットを矮小化し、メリットの部分を大きく受けることが可能であると私は思います。
まだまだ大きい病院を中心にしか導入が進んでいない電子カルテですが、これからも普及が進み医療業界全体で情報が共有できるような流れが進んでいます。
私たち院内SEも電子カルテなどの医療情報システムをもっと学んで、職員の皆様に使いやすく便利な電子カルテを提供できるように頑張っていきたいです。
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