病理診断科について
最近「はたらく細胞」というアニメをよく見ているのですが、病院内にもこの細胞などについてよく観察している部署が存在します。
今回はそのような業務を行っている病理診断科について紹介したいと思います。
病理診断科とは
病理診断科とは名前が表す通り、病気の理(ことわり)を診断する、つまり病気の原因や成り立ちを詳しく調べる部署となります。
実際の現場では、患者さんの体から採取した組織などの検体を主に顕微鏡で詳しく見ることによって、最終的な診断を行います。
業務内容
大きく分けると、下記の3つの仕事に分類されます。
病理組織検査
生検や手術で採取した組織をホルマリンで固定後,病理医が診断するための標本を作製する作業です。
ホルマリンは組織中のタンパク質と反応してタンパク質が凝固して、細胞や組織の構造が安定化されます。 さらに微生物(バクテリアやウイルスなど)を不活性化、また細胞内成分(核酸や脂質など)を変性させずに保存するため、後の分析や研究に適しているとのことらしいです。 私は全く詳しくないのですが、医学系や生物系などの学科で習うんでしょうか。
流れとしては
- 摘出された臓器をホルマリンで固定する
- 診断したい場所を小さく切り出す
- 専用の容器に移す
- 水浸しの材料から水分を抜きパラフィン漬けにする
- パラフィンとはワックスの一部で、ろうそくのように液体からしばらくすると固まる素材
- 材料をさらに薄く切って、スライドラスに乗せて色付けして顕微鏡で診断する。
上記のように診断を行い、病気の最終診断となることも多い検査となっています。
細胞診検査
組織から直接擦りとった細胞、尿、喀痰、胸腹水等の検体に異型細胞または、癌細胞がいるかいないかを顕微鏡で調べます。
こちらも同じく、顕微鏡で調べるのですが、臓器や組織から細胞を採取して顕微鏡で観察していきます。
病理解剖
最後は病理解剖で、ご遺族承諾のもとに病理解剖を行い生前の疾患の正確な診断や治療効果などを明らかにし、疾患の本体解明に役立てるために行う解剖です。
病理診断科の医師とスタッフ
病理医と臨床検査技師が在籍しております。 病理医は病気の診断に特化し、上記の検査による診断を行います。
また、臨床検査技師は下記の記事でも紹介しましたが、その中でも細胞検査士という特別な資格を取得した技師が多いです。
上記の検査で観察する量が多いので、細胞検査士と病理医が協力して異常細胞や病気の兆候を発見・記録し、その結果によって最終的な病理医や担当医師が病気の診断を行います。
院内SEとの関係
私は直接呼ばれたことはないので関わりはなかったのですが、基本的に電子カルテを使っているのでPCトラブルなどで呼ばれる可能性はあります。 また、検査機器などを院内ネットワークにつなげる業務などもあるので、機器の導入業者さんと調整する場合もあると思います。
まとめ
検査科でも普段患者さんと関わることは少ないのですが、こちらも同様に普段お目にかけないと思います。
疾患の発生要因、病変の分類や拡散の度合いや治療の有効性の検証などを検査して調べる重要な部署となります。
最近ではAIによる病理診断も進んでいるそうですが、完全に代替できるものではなく、一部の決められた範囲でサポートとなるツールとなっているそうです。 こういったツールなども活用しながら、業務の効率化を進めながら、正確で精度の高い情報を短時間で提供できるようになっていければいいですね。
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